新型コロナワクチン接種と急死の因果関係が肯定できるものはない。というより、因果関係が認められないと断定できるものはない。とすべき
まず、結論からすると新型コロナワクチンは接種すべきという立場だけど・・・
新型コロナワクチン接種後に死亡して厚労省の専門家評価対象になった事例が4月30日に19人だったところ
参考記事:ワクチン接種後19人死亡の衝撃 基礎疾患のない26歳看護師も
5月12日に28人になった。
参考記事:副反応、100万回当たり28件 新型コロナワクチン―厚労省
統計数のように扱ってしまうと、数字の問題のように思えてしまうが、一番若い26歳看護師の詳細の記事を読むと、人命のこととして切なくなる。
参考記事:コロナワクチン接種の4日後に急死した26才女性 因果関係はあったのか
この人の具体的な内容は、厚労省の報告書の事例2で評価されている。
参考資料:新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要
「ワクチン接種と急死との因果関係が否定できないものはない」という説明や報道がされているわけだけれど、厚労省報告書を見てもわかるとおり、評価結果は、「因果関係が否定できないもの」と「因果関係が認められないもの」の2択ではない。
すなわち、「因果関係が否定できないものがない」=「因果関係が肯定できるものがない」という事例が、「因果関係が認められない」にはなっていない。
実際には3択目として、「情報不足等により因果関係が評価できないもの」があり、全件がこれになっている。
評価結果の報告書なのに、全件が「評価できない」という評価結果になっている。
それなのに、「因果関係が否定できないものはこれまでない」という説明に使われている。
ただし、因果関係が評価できていないのは、行政が何か恣意的にしているわけではなく、死亡者遺族が解剖検査を拒むことによるようなので、どこかに悪意や隠蔽の意図があるわけではないと思われる。
しかし、そもそも、従来のインフルエンザワクチンでは、4159万人の接種で1人の死亡については、「ワクチン接種との因果関係が否定できない」とされており、死亡までしないにしても、後に回復する重篤化については、10万人に1人くらいとされている。
それなのに、新型コロナワクチンだけがゼロのわけがないと考えるのが合理的だと思う。
参考記事:【新型インフルワクチンの副反応】死亡例133件も、接種との関連認められず
このあたり、日本の危機管理の本質的な課題のように思う。
リスクとは存在していて、それをある程度許容し、リスクを残存させるという選択が基本的な考え方とされている。
選択のひとつには、リスクの回避というものがあるが、それは、本来やろうとしていることをしないという選択。
新型コロナワクチン接種の場合で言えば、接種しないというのがリスク回避になる。
リスクを回避しないのであれば、すなわち、接種するのであれば、ある程度のリスクを残存させたことにしかならない。
原発の安全神話でも同じだったが、日本では、リスクはないということにして、物事を進めてしまうことが多いと思う。
リスクがあることは正直に説明した上で、全体利益のために、リスクを許容する選択をしてほしいと説明しなければ、どんどんと信頼を失ってしまうのではないかなと心配になる。
ワクチン接種と急死との因果関係が否定できないものはない。というのではなく、因果関係が認められない(と断定できる)ものは(今のところ)ない。というのが、残存リスクを正しく伝えるために必要な表現だと思う。
それを踏まえた上で、社会全体のためには、ワクチン接種はするべき(してほしい)という考え方を示さないと、原発災害と同じで、リスクはないという建前が足かせとなって、逆にリスクを軽減するための対策が疎かになったり後手に回ったりしてしまうのではないかと思う。
5月 18, 2021 | Permalink
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