パンデミック・・・インフルエンザと思わずペストと思え。
NHKスペシャルでパンデミックの特集を放映してました。
前編は、シナリオを想定したドラマ仕立てになっていてフィクションですが、問題意識を持たせる内容。
後編は、いわゆるNHKスペシャル調の説明。
放映された番組内容のホームページは、それぞれ
http://www.nhk.or.jp/special/onair/080112.html
http://www.nhk.or.jp/special/onair/080113.html
です。
数年前から、秋山先生にお目にかかると、言われていたことではありますが改めて調べてみるとすごく深刻な内容です。
大雑把に言うと、パンデミックというのは、ワクチンのまだないインフルエンザが爆発的に感染する事態のことを言います。
パンデミックという言葉の意味の説明は Wikipedia にもあります。
まず最初に、本件については、ぼくはせいぜいTVを見てネットで調べて、勉強会で1時間半の発表を聞いたくらいなので、以下で紹介する内容については不正確な説明となっている点があるかもしれません。
ご指摘あれば、コメントで教えてください。
適宜、訂正などしていくので・・・よろしくお願いします。
では、本題。
国立感染症研究所には、パンデミックに関する公式ページがあります。
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/05pandemic.html
WHO は6段階のパンデミック危険レベルのうち、現在の世界が既にレベル3であるとしています。
6段階それぞれの説明は
http://influenza.jp/pandemic/c01.html
に WHO の定義について厚生労働省「新型インフルエンザ対策行動計画」での日本語訳が紹介されていますが、
レベルがひとつあがって4になると、どうなるのかは、以下のページに紹介があります。
http://influenza.jp/pandemic/c03.html
Q&Aが掲載されています。
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/pandemic/QAindex.html
Q17 では日本の対策計画の概略が説明されています。
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/pandemic/QA17.html
個別には、国立病院機構仙台医療センターのウイルスセンターに論考があります。
http://www.snh.go.jp/Subject/26/index.html
公式ページからは、WHO の世界各国の対策計画についてのページへのリンクがあります。
http://www.who.int/csr/disease/influenza/nationalpandemic/en/index.html
その中に、米国のパンデミック対策計画
http://www.hhs.gov/pandemicflu/plan/
がありますが、公開情報の多さは、日本と比較して相当充実している様子です・・・
さらに、米国はワンストップサイトも既に用意してました。
http://www.pandemicflu.gov/
上記の情報などによると、米国はタミフルの備蓄を4000万人分にするようです。
日本は2500万の目標で既に半数が備蓄できているようです。
そこまでだと米国の対策と同等っぽいですが、タミフルが将来の未知のウイルスに効くかはわからないので、米国はパンデミックになった場合には、新たなワクチンを6ヶ月間で国民数分用意するという期限目標が計画に入っています。
日本はこれについては必要性を提起しているだけで具体的なことについて触れていないようです。
米国はさらに、新しいワクチンを6ヶ月間かけて製造した際に、準備できた順番で誰を優先して配布するかの方針まで決めているとNHKスペシャルでは紹介していました。
方針では、いったん65歳以上を最初に優先配布と決めた後に、国民論議が起こり乳幼児を最優先、次に未成年者、その次に65歳以上にしたとのこと。
特に国民意識調査では、65歳以上の年配者自身が、「自分達よりも孫たちの世代を優先して守るべき」との反応を示して、方針変更がされたといいます。
このあたりは、日本の対策計画の立ち遅れもありますが、国民意識に差がありますね。。。
それに国内 2500万の備蓄ということは、全人口の5人に1人分。いったい、どういう順番で配られるのだろうか。と考えさせられてしまいます。
その他にも、事前に方針を決めておかないと、パンデミックが発生してからでは収拾できない課題がNHKスペシャルで具体的に紹介されていました。
人の倫理観にかかわる重要な課題が山積しているようです。
NHK スペシャルがドラマにしているので、まったくのフィクションかと思いきや、本当に現実にすぐそこまで迫っていることが以下の情報でわかって、結構びっくりしました。
鳥インフルエンザが人に感染している状況は絵で見ると
http://www.pandemicflu.gov/images/pop_image.gif
数字で見ると
http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/country/cases_table_2008_01_03/en/index.html
すぐそこまできてますね。。。
そんなことをきっかけに、パンデミックが気になってきたので、先日、機会があって、
「新型インフルエンザ 事前準備と大流行の緊急対応」
という勉強会に出席してみました。
内容を大雑把にまとめると以下のようなかんじです。
1997年に香港で発生して死者まで出した、鳥から人に感染したH5N1型インフルエンザですが・・・
NHKスペシャルのドラマ的に言うと、「封じ込め」に失敗したとのこと。
そして、こいつは、着実に変異を続けていて、人~人感染型、いわゆるパンデミックになる可能性は100%で、後はその突然変異が「いつ起こるか」だけの段階とのこと。
「パンデミックは、if ではなく when の問題」というのが専門家の認識だそうです。
にわかに信じられないけど、発表では、整理されたデータが次々と紹介されました。
WHO の予想は、30年以内に60%の確率でパンデミック発生という数字もあるそうです。
実は、NHKスペシャルを見て自分で調べた後には、首都圏直下型地震対策の後くらいには考えないといけないことだろうなぁとは思ったのですが、、、それも以下のような説明がありました。
首都圏直下型災害の発生確率予想の数字も同じようなものだけど、災害はいざとなったら、災害のない地域からの復旧支援も得られるし、場合によっては復旧されるまで首都圏から離れるということも選択できます。
パンデミックは、全世界的に起きるので、首都圏以外はおろか、海外からの支援も期待できないし、どこにも逃げていく先もない。
比較的準備万端の国が、自国内復旧の目処をを済ませて、海外支援にも動き始めるのは2ヶ月と予測されているそうなのですが、日本は食糧・エネルギーとも自給自足ができていない。
たとえば、食糧の輸入が継続して港まで届いても、港湾労働者が寝込んだら、誰が積荷を船から降ろすのか、誰がトラックで輸送するのか・・・
自給自足できていないことが、アキレス腱になるとのこと。。。
ふと疑問に感じるのは、これほどのことの危機意識がなぜあまり啓発されていないのだろうかと・・・
聞いた話しに想像も加えると、だいたい以下のようなことのようです。
本来、インフルエンザは、その名のとおり、広義の感染症のことですが、一方で、風邪の症状を示すものには、免疫低下とウイルス感染によるものがあるわけです。
免疫低下の風邪は、養生して栄養の付くものなんかを食べてれいれば治るわけですが、ウイルス性の風邪は病院行って治さないと長引きます。
そこで、風邪の症状が出たときの対処を大まかに2つに分けて促す際に、ウイルス性のものを、一般に「インフルエンザ」と呼んで、その言葉がインフルエンザの意味として定着してしまっています。
しかし、インフルエンザの定義からすると、本来の広さよりすごく狭義に使ってしまっていて、あたかも風邪の種類の言い方かのようになってしまっています。
これが誤解を招く根源かもしれません。
H5N1 のようなインフルエンザの昔の呼び方は、実は、「家禽(かきん)ペスト」だそうです。
ペストを Wikipedia でみると異なるものだということはわかります。
それが近年になって、ペストというとどぎついので、学術的な意味で正しい、インフルエンザと呼ぶことに国際的に改められたそうで、国内もそれに従い、「ペスト」とは呼ばないことにしたそうです。
実際には、インフルエンザの中で、パンデミックになるのは、「高病原性強毒インフルエンザ」と分類されていて、風邪などの「低病原性弱毒インフルエンザ」とは区別されているそうです。
もっとも大きな違いは、後者が器官系の表面くらいに悪さをするのに対して、前者はすべての細胞が対象となる点だそうです。
パンデミックの発生の可能性が低いときは、不必要な動揺を煽らないために、「ペスト」と呼ばないというのはよかったかもしれませんが、可能性が高まった時点では、「高病原性強毒インフルエンザが発生する危険が迫っている」と言われても、「あぁ、風邪のインフルエンザのなんか強力なのが流行するのかな?」くらいのことしか思えない。
「ペストの流行がもうじきやってくる。」と言われれば、いわゆるインフルエンザとは異質の何かのことという認識ができて危機意識が高まるのに、どぎつすぎるという理由で、その呼び方を「インフルエンザ」にしてしまったために、逆に、危機意識を高められないという皮肉なことになってしまっているようです。
と、まだまだ、話しはつづいて、社会や企業として備えなければならないことなどの提言がありました。
それらについては、また気が向いたら紹介したいと思います。
とりあえず気になるところとして、
「日常生活で気をつけることは?」の質問への答えは、、、
とりあえず、鶏については、加熱せずに食べるのは、100リスクあって1利なしとのこと。
ふむふむ。鶏のささみの刺身は食べない方がいいわけね。
もともとそんなに、ぼくは鶏の刺身は食べないから関係ないやと思いきや。
いやいや、それより・・・「生卵はもっての他」とのことです。
生卵を食べるという食習慣そのものをやめるべき。
とのこと。
一方で、ITのサービス継続の観点からも影響があります。
ITのサービス継続計画では、機器障害や災害を想定するのが一般ですが、パンデミックが発生すると、IT機器は無傷の状態で、運用・保守の要員が出勤できないということを想定する必要があります。
パンデミックについて、家庭と職場の両方について、そろそろ真剣に備えないといけないようです。
2月 19, 2008 | Permalink
コメント
ふむふむ、勉強になったというか怖くなりましたよー。昨日、NHKでは朝のニュース(それも、それも4時半からの朝一番のニュースですよ!)でも多くの時間を割いて鳥インフルエンザ問題を取り上げていました。最早、無視できない確率なんでしょうね。あっ、僕はとしては今までどおり、鶏=焼き鳥、薬=焼酎で対処可能と信じております。(^_^;)
投稿: hoppy | 2008/02/19 9:40:29
ふむふむ、勉強になったというか怖くなりましたよー。昨日、NHKでは朝のニュース(それも、それも4時半からの朝一番のニュースですよ!)でも多くの時間を割いて鳥インフルエンザ問題を取り上げていました。最早、無視できない確率なんでしょうね。あっ、僕はとしては今までどおり、鶏=焼き鳥、薬=焼酎で対処可能と信じております。(^_^;)
投稿: hoppy | 2008/02/19 9:41:06