2015年11月28日 (土)

マイナンバーカードを申請するときに確認すべきこと

我が家にもマインナンバー通知が届いた。
通知が届いたら、まずひとつめのポイントとして、自分の氏名に外字が使われていないことがわかってよかった(笑
そして残るもうひとつのポイントは、マイナンバーカードの申請をするかどうかですが、
ぼくはマイナンバーカードの申請は、とりあえずしないつもり。

実はこれは前から決めていたことで、理由としては、電子証明書が有効な住基カードを持ってるから。

有効な電子証明書がある住基カードを持っている場合には、無人交付機の利用とe-Taxの利用の2点を確認した上で、マイナンバーカードを今申請するのがよいかを考えてもよいと思う。ただ、それに該当する人は、いずれは申請することになるだろうから時期の選択ということになる。

1.無人交付機の利用

世田谷区の場合、住民票とかは住基カードを使って窓口時間以外も出張所のセルフサービスの交付機で交付ができて便利。
ところが、マイナンバーカードを発行してもらうと、その時点で住基カードの証明書が失効(使えなくなる)して、この交付機は使えなくなる。

国(総務省)の説明は、マイナンバーカードでコンビニ交付サービスを始めると広報してるけど、実際には自治体ごとにその導入時期はさまざま。
マインナンバー通知に同封されていたパンフレットには、コンビニ交付があたかもすぐに開始するかのごとく、以下のように書いてある

現在、約100の市区町村がサービスを導入しており、導入市区町村の人口は、約2000万人です。
平成28年度中に、導入市区町村は約300 に増加し、約6000万人が利用できることとなる予定です。
さらに、約500の市区町村が導入を予定しており、1億人を超える人が利用できることとなる見込みです。(※1

つまり、既に住基カードを持っている場合に限っては、マイナンバーカードを発行してもらった場合の住基カードへの影響やマイナンバーカードでのコンビニ交付がいつ始まるかなどについて、国の情報ではなく自分の住んでいる自治体の状況をよく確認してから申請しないと、利便性が低下する場合がある。(逆に、有効な電子証明書のある住基カードを持っていない人は、マイナンバーカードの申請をしない手はないと、個人的には思う)

ということでぼくの場合は、自分のところを見てみると・・・

世田谷区:住民基本台帳カードと電子証明書(公的個人認証)の終了について
http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/101/111/216/217/d00136455.html

世田谷区では、個人番号カードを利用する「証明書のコンビニ交付サービス」の開始を予定しています(開始時期は未定)。」

なので、世田谷区は、コンニビ交付の開始時期は未定と書いてあるわけです。

もちろん、「開始時期は未定」とはいっても、新規の住基カードの交付を今年12月22日で終了するので、開始がそんなに遅くはならないはずだから、もしかしたら、早々にサービスするという非公開の事実があって、留意事項として何も広報してないのかもしれないけど(※2)。

仮に、サービス開始が遅れるとしても、いつ届くかわからないマイナンバーカード(※3)の申請を済ませておくと結局ちょうどよいタイミングになるかもしれないという考えもあるけれど、逆に、さくっと届いちゃったら、上記の理由で不便なことになるかもしれない。

2.e-Taxでの利用

一方で、確定申告でe-Taxを利用するために、住基カードに電子証明書を入れている人も多いのではないかと思う。
これについては、使っているICカードリーダがマイナンバーカードに対応しているかの確認をしておくとよい(※4)。
こちらは、逆に、マイナンバーカードの受領が今年度の確定申告の期限に間に合うかに注意が必要だ。
今回のマイナンバー通知状の配送状況では、国による通知の準備ができてから、自治体による本人への送達と郵便局による実際の配達までの間に時間がかかったようである。
マイナンバーカードが発行されると、住基カードの電子証明書は失効するので、マイナンバーカードが発行されてから受け取るまでは、住基カードではeTaxができなくなる場合がある。
ただし、こちらも通知状は簡易書留であったために時間を要したが、マイナンバーカードの受け取り案内状は普通郵便などより簡易な郵送だと思うので、遅延はないかもしれないが、住基カードの有効な電子証明書がある人は、マイナンバーカードの申請をした場合にも、e-Taxは早めに住基カードで済ませておいた方がよいと思う。

このようにマイナンバーやマイナンバーカードの使用については、自分の住んでいる自治体のサービスを確認しないといけない(※5)。

ということで、あくまでぼくの状況にあてはめて考えてみたところとしては、マイナンバーカードの申請はしないと決めたんですぅ。

※1

    計算すれば簡単に推定できるけど、現在の100の市区町村で2000万人ということは、平均して人口20万人の規模の自治体。平成28年度中も300で6000万人なので同じ。
    実際に導入している自治体の一覧(https://www.lg-waps.jp/img/pages/service_list_20151005.pdf)を見てみると、先進的なことに注力している、いわゆる先進自治体と呼ばれているところ以外は、そんなかんじ。
    先進自治体を除くと、自力で無人交付システムを構築できそうになかったところが、共同システムの利用によって導入できるようになったから先行しているという逆転現象。

    やっかいなのは、比較的人口が多く予算があって共同システムではなく自営の無人交付機を導入できてしまっていた自治体。
    なおかつ、従来のそれとコンビニ交付を併用して二重投資するところまで積極的ではない自治体は、逆にマイナンバーカード対応のコンビニ交付の導入が遅れる場合がある
    古い技術を先に使っていると、新しい技術ができたときに逆に乗り遅れるというパターン。

※2

    なぜ、マイナンバーカードのコンビニ交付時期を明確にしない自治体があるのかという理由は推察するしかないが、これにはその導入費用の国からの補助金額が関係しているようだ。単純には全額が国から補助されるなら、自治体として導入しない理由はない。ところが、この補助金は国による総額が決まっているが、その金額は全自治体の導入費用をすべてまかなうには及ばない額で、導入費用の一部助成になるらしく、自治体への分配方法は、各自治体でのマイナンバーカードの発行枚数の割合に応じて、総額を分配するという方式を取っているらしいという話しがある。そのため、自治体からすると、マイナンバーカードが他の自治体より、多く発行され分配額が大きくなればよいが、少なくて小さくなったらどうしよう?という躊躇があるようだ。この、卵とにわとり状態で、「未定」ととりあえずしておくということが「推察」されるが、実際のところはわからない。

    ただし、住基カードの新規発行や、その電子証明書の更新を打ち切ることを決めている自治体は、マイナンバーカードによるコンビニ交付を導入しないということは考えにくいので、仮に国からの補助金額が小さくても、赤字財政でない限りは導入するのではないかなとは思う。

※3

    マイナンバーカードは当初は有償配布で計画されていたが、途中から無償配布に方針変更された。これのための予算は、平成27年度中に1000万枚、平成28年度として500万枚分が計上されている。現時点では、合わせて1500万枚分しか手当てされていない。個人的に、これを「先着1500万名様問題」と呼んでおり、厚生労働省の研究会でも質問をした経緯(https://twitter.com/4416sato/status/664434539075268608)がある。

※4

    ただし、実際に確認できるのはICカードリーダがマイナンバーカードにハードウェア的に対応しているかだけとなる。ハードウェア的に対応していないならば、当然、利用できないが、住基カードでこれまでe-Taxを利用していたのであれば本来はハードウエア的には対応しているはずである。
    しかし、これをICカードリーダのメーカーに問い合わせると、「お使いのリーダを使ってマイナンバーカードでe-Taxができるかは現時点ではお約束できません」と言われるはずだ。これは、リーダがカードに対応していることと、e-Taxシステムがリーダに対応するかは別のことだからだ。なぜなら、今年度末のe-Taxの確定申告システムが、どのICカードリーダのドライバを提供するかは、メーカーは約束できないからだ。
    常識的にいって、これまで大丈夫なら次回も大丈夫なはずだが、メーカーとしてあらかじめ保証はできないということのようだ。

    ようは、マイナンバーカードに限ったことではなくて、「このリーダは、次回のe-Taxに対応してますか?」と事前に問い合わせられても、同じ回答しかできないようだ。
    メーカーとしては、マイナンバーカードが発行され、e-Taxシステムに自社のICカードリーダがサポート機器として掲載されて始めて、「弊社のリーダで、マイナンバーカードによるe-Taxが利用できます」と言えるようになるのである。

    なので、既に住基カードで利用実績のあるICカードリーダならば、メーカーに「現時点ではわからない」と言われても、マイナンバーカードでも利用できると信じたい(笑

※5

    だからこそ、「マイナンバーとマイナンバーカードについて地方自治体として広報すべきことは何か?」で紹介したように、区がマイナンバーの広報をする際には、国の広報内容を繰り返すだけでなく、区民に対する事務を実施している区として、区の既存のサービスにどう影響するのかなど、区としての注意事項を広報しないとダメですよねと世田谷区個人情報保護審議会で意見し、審議会提言書としても提出されているのだが・・・区は、その広報をしなかったように思う。

    世田谷区情報公開・個人情報保護審議会
    社会保障・税番号(マイナンバー)制度について(提言)(案)
    http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/107/157/731/d00005489_d/fil/H27_5siryou.pdf

    3 マイナンバー制度に関する区の広報のあり方について
    マイナンバー制度における個人番号の利用が開始された場合において、区民や事業者等がどのようなことに留意すべきか、また個人番号に係る事件・事故等が発生した場合に、どのように対応すべきかなど、区民の目線に立った区の広報のあり方につき、十分に検討した上でこれを実施されたい

11月 28, 2015 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年9月14日 (月)

マイナンバーとマイナンバーカードについて地方自治体として広報すべきことは何か?

マイナンバーと、どうやって付き合っていくのかについて、ひとつめとして「市民として注意すべきことは何か?」について紹介した。
ここでは、ふたつめとして、マイナンバーとマイナンバーカードについて地方自治体として市民に何を広報しなければならないかを考えてみる。

国は、政府広報「あなたにもマイナンバーが通知されます」を作成して平成27年3月に配布し、マイナンバー、個人番号カード(ここでは、以下、マイナンバーカードと言う。)とマイ・ポータルについて広報した。
地方自治体のいくつかも、その後の春から夏にかけて、それぞれ広報誌を作成して配布したところがある。
しかし、地方自治体の広報内容が、国の広報内容と同じだとしたら、もったいない気がする。

地方自治体は、実際にマイナンバーやマイナンバーカードを取り扱う窓口業務を実施するのだから、それに関係したことを、実際の業務に沿って具体的に紹介するのがよい。

地方自治体は、マイナンバーだけでは窓口手続きをできないことを広報しておくべきだろう。「市民として注意すべきことは何か?」で紹介したとおりマイナンバーは住所・氏名を名乗るのに代わるだけなので、窓口で手続きをしてもらうには自分が本人であることを証明するための本人確認をこれまでと同様に別途してもらう必要がある。
例えば、運転免許証やパスポートに記載されている顔写真が、窓口にいる自分の顔と同じ人物であることを確認してもらうということが必要だ。
窓口では、マイナンバーを申し出ただけでは、手続きをすることはできず、手続きをするためには、何らかの本人確認が必要であることを周知しておく必要がある。

マイナンバーが秘密の番号だと誤解してしまった人からすると、自分の氏名とマイナンバーを申し出ると、マイナンバーがあたかも暗証番号のように取り扱われるのではないかと誤解している可能性がある。
つまり、マイナンバーを他人が知らないはずなら、マイナンバーを正しく申し出ることで本人として認めてくれればよいじゃないか。という誤解である。

本人確認のために必要なものを持参してもらわないと、手続きをすることはできないので、窓口に来るときには、それを持参することを忘れないようにしてください。というお願いをする。
仮に、本人確認に必要なものを持参してもらえないと、どんなにお急ぎであっても、手続きをすることができない場合があるという注意まですればより丁寧だ。

さらに、前回「市民として注意すべきことは何か?」で紹介したように、窓口での本人確認が不十分ではないかということを感じたら、それを申し出るように注意喚起してもよい。たとえば、窓口係員がちゃんとカードの写真と自分の顔写真を見比べていたか。マイナンバーの番号だけに頼らずに、氏名を復唱して番号に間違いがないことを確認したかなどを、手続きをする市民に見届けてもらうことの協力をお願いするのである。それによって、単発的な第三者点検よりも、継続的で網羅性のある点検に市民に参加してもらえるようになる。
ともすると、本人確認を厳格にすることによって「役所は融通がきかない。不親切だ」という誤解を受けるかもしれないが、それの払拭にもつなげることができる。

以上のことがちゃんと周知されれば、マイナンバーが他人に知られたからといって、すぐに自分に成りすまされることがないことを理解してもらうことにも役立つ。

その上で、本人確認の手段として、従来の運転免許証やパスポートなどの他に、マイナンバーカードが増えたことの説明を加えるとよい。

そもそも、国の広報では、マイナンバーは「国民一人ひとりがもつ12桁の番号」で「社会保障・税・災害対策の分野で個人の情報を適切かつ効率的に管理するために活用される」としているが、国民としての用途に触れていない。

国は、以下のことなどを広報した。
 1.マイナンバー、マイナンバーカード、マイ・ポータルとは何か
 2.国はマイナンバーを何のために使うのか
 3.マイナンバーはどう管理され、どう守られるか

逆に言うと、国は次のことについて広報していない。
 4.市民はマイナンバーを行政手続きでどう使うのか
 5.市民はマイナンバーカードを行政手続きでどう使うのか
地方自治体は、上記の1~3について再周知するだけでなく、4と5を新たに周知することで付加価値を示すことができる。

4について
マイナンバーは、行政手続きをする際に、住所や氏名を申し出る代わりに、自分が誰かを伝えるために使うものだ。本来は、マイナンバーを申し出るだけで誰だかわかるはずだが、番号の羅列であるため、書き間違えや読み間違えを防ぐために、住所や氏名も引き続き記載することになる。

行政手続きをするには、マイナンバーの他に、従来どおり本人確認のための身分証を持参する必要がある。

5について
マイナンバーカードは、自分が誰かを証明するために使うもの、つまり身分証だ。マイナンバーカードでは、自分が誰かということが、運転免許証やパスポートと同様に氏名で示されるとともに、マイナンバーも記載してあるので、同姓同名者などと間違われることもなく、より確実に自分が誰かを示すことができる。
したがって、マイナンバーカードは、これまで身分証を持っていなかった人にとっては、国から無料でもらえる写真付きの身分証ということになる。
既に運転免許証やパスポートを持っている人は身分証を持っていることになるが、マイナンバーカードだと、そこにマイナンバーも入っているものになる。

つまり、身分証を持っていない人には、身分証を無料であげます。
身分証を持っている人には、マイナンバー付きの身分証を無料であげます。
ということにすれば、身分証を持っている人にも持っていない人にも、カード申請の動機付けを与えることになる。

マイナンバーカードは、国から無料で発行される写真付き身分証ということを周知することが基本的に必要だ。それ以外のことは、付加的なことでしかなく、万人にとっての動機付けにすることは難しい。
ましてや、行政手続きでの使い方を上記4や5のように広報していない時点で、マイナンバーの将来の民間利用の話しと混在して説明し始めるのは本末転倒でしかない。利便性を広めたいつもりかもしれないが、不安が先に広まりかねないからである。

上記に加えて、既に住基カードを持っている人については、マイナンバーカードの発行を申請することによって、住基カードやカード内に保持している電 子証明書がどうなるか、住基カードを自治体独自のサービスに使用しているなら、それがどうなるかなどを、各自治体の状況に応じて具体的に説明することが親切だと思う。

ざっくりと、まとめてしまえば、以下のようなことだ。

マイナンバーは、行政手続きの際に、氏名の代わりにお伺いするものです。ただし、番号間違いを防ぐため引き続き氏名と住所などもお伺いいたします。見ず知らずの人に氏名を知られたくないのと、同程度に、マイナンバーを人に知らせないでください。マイナンバーをご存知なだけではご本人であることの確認にはなりません。そのため、マイナンバーをご存知だからといって、ご本人に関する情報を閲覧したり、行政手続きをすることはできません。手続きの際は、従来どおりに身分証が必要なので、必ず持参してください。
マイナンバーを行政からの依頼なく、民間機関がおたずねすることはありません。勤務先等へのマイナンバーの届け出については、行政から勤務先等に依頼しているものです。民間機関からマイナンバーをたずねられた場合には、それが、どのような行政手続きによる依頼かをご確認の上でマイナンバーを伝えるようにしてください。

マイナンバーカードは、国が無料で発行してくれる写真付きの身分証です。写真付き身分証をお持ちでない方は是非お申し込みください。既に身分証をお持ちの方もマイナンバー付きですし無料ですから是非お申し込みください。マイナンバーカードをお使いになるときは、取扱者が顔写真とご自身の顔をよく見比べているかを確認してください。もしも、怠っている場合には、遠慮なくご相談ください。
マイナンバーカードは、行政手続き以外での民間機関に対する身分証としてもお使いいただくことができます。ただし、その際に民間企業が確認できるのは、マイナンバーカードの表面に記載された氏名・住所等の事項のみです。裏面に記載されるマイナンバーを見たり控えたりすることは法律で禁止されています。もしも、行政手続き以外でマイナンバーをたずねられた場合には断っていただき、その旨をご報告ください。なお、民間での利用については将来の法改正で検討される予定がありますが現時点では上記のとおり禁止されています。

なお、既に住基カードをお持ちの人については、~~(自治体の状況に合わせて記述)~~のようになります。

上記の最後に加えて、既に住基カードを持っている人については、マイナンバーカードの発行を申請することによって、住基カードやカード内に保持している電子証明書がどうなるか、住基カードを自治体独自のサービスに使用しているなら、それがどうなるかなどを、各自治体の状況に応じて具体的に説明することが必要だと思う。

いずれにしても、地方自治体でマイナンバーの広報活動をするなら、国の広報と同じ内容を重複するだけではなく、窓口業務などを直接実施する立場での広報内容についても考えるのがよいと思う。

9月 14, 2015 | | トラックバック (0)

2015年6月 4日 (木)

マイナンバーが導入されたら市民として注意すべきことは何か?

マイナンバーと、どうやって付き合っていくのかについて、いくつかの観点で紹介していこうと思う。
まず、最初は、マイナンバー制度が導入されたら、市民として何に注意しなければならないかを考えてみる。

マイナンバーは当面は、行政手続きだけで利用されるので、まず、そのような利用場面を考えてみる。
現在は、役所の窓口に行って、自分に関する何かの行政手続きをする際に、氏名を申請することがあるだろう。氏名だけでは、同姓同名者がいるかもしれないので、住所や生年月日も合わせて申請することになる。
氏名や住所を記載したり申し出たりすることで、自分がどこの誰かが伝わり、他の人ではない自分に関する手続きを申請することができるわけだ。
そのように、自分がどこの誰かを他人と区別してわかってもらうための情報を、特定用情報と言う。この場合には、氏名や住所が特定用情報となる。
氏名や住所を特定用情報として申し出るのと同じように、今後はマイナンバーを特定用情報として使うことができるようになる。

ただし、現在でもそうだが、氏名と住所を申し出たからと言って、それだけで、その本人に関する情報の閲覧や変更などの重要な手続きはしてもらえない。窓口では、運転免許証などの身分証の提示を求められ、そこに写っている顔写真と、窓口にいる人の顔を見比べた上で、同じ人とわかれば、申し出ている人が、本人であると判断する。そのように、名乗っている特定用情報の本人なのかを確認することを、本人確認と言う。
本人確認がされて、初めて、その本人に関する手続きをしてもらうことができる。

ここで紹介した特定用情報と本人確認という用語を使って、窓口の手続きについて改めて順番に書くと、自分が自分の特定用情報を窓口の人に対して申し出て、窓口の人が本人確認をしてから手続きをすることになる。
このとき、従来の特定用情報である、氏名や住所と同様なものとして、新たにマイナンバーというものが使えるようになる。

ここで踏まえておくべきなのは、自分の特定用情報を知られたからといって、すぐに自分に関する手続きを勝手にされてしまうことはないということだ。なぜなら、それを偽って名乗って、誰かが自分に関する手続きをしようとしても、本人確認がしっかりしていれば、本人ではないことを見抜かれて手続きがされることはないからだ。
これは当たり前で、自分の氏名や住所を知っている人は、多くいるはずで、それを知っているだけで、自分になりすまして、なんでもできてしまうことはない。なりすましが問題になるようなことには、常に、本人確認がされるはずだからである。

それを踏まえて、仮に、自分のマイナンバーが他人に知られてしまったときのことを考えてみる。

自分のマイナンバーを他人に知られてしまうということは、他人に自分の氏名と住所を知られてしまうのと同じことだ。
住所を知られてしまうと、他人に家まで来られてしまうというような危険性があるが、先の例のように窓口で手続きをするということだけに着目すれば、そのような心配は、特定用情報としての心配ごとではないことになる。住所を知られたら家に来られてしまうという問題は、自分に関する情報が勝手に閲覧されたり変更されるというような手続きをされてしまうということとは別問題だ。

もちろん、自分と関係のない他人が、自分の氏名と住所を知っていたら気持ち悪い。本人確認がしっかり行なわれるとしても、そもそも特定用情報が知られていない方がより安全だ。したがって、自分の特定用情報は関係ない人には知られないようにしておく、つまり教えない方がよいし、知っている人には、そのように管理してもらわなければならない。
しかし、仮に特定用情報が、他人に知られてしまった場合に、それが氏名や住所では簡単には変えられない。住所を変えるということは引っ越しをしないといけないから、生活を変えなければならない。一方で、特定用情報にマイナンバーを使っていて、それが他人に知られてしまったら、マイナンバーを変えてもらうことは、氏名と住所を変えるのに比べれば生活への影響はない。

このことは、特定用情報としてマイナンバーを使うことは、氏名と住所のような、それ以外の情報を使うよりも、万が一のことがあった場合の事後対応の生活への影響を少なくできると考えることができる。
これは、本来は、変えられる番号の強みだ。
その点において、政府広報では、
「マイナンバーは一生使うものです。マイナンバーが漏えいして、不正に使われるおそれがある場合を除いて、番号は原則として一生変更されませんので、マイナンバーはぜひ大切にしてください。」
という説明をしているが、むしろ、
「マイナンバーが漏えいして、不正に使われるおそれがある場合は、番号は原則として変更します。そのような場合を除いて、マイナンバーは一生使うものです。マイナンバーはぜひ大切にしてください。」
という説明の方が、安心感を与える表現になるだろう。
また、不正に使われるおそれがある場合にすぐに変更されてしまう番号となれば、それを不正入手して販売などしようとする不正の動機は、ある程度下がるかもしれない。それを買ってみたら、すでに変更されていて使い物にならないということでは、その悪い商売の評判が悪くなるからだ(笑)

重要なことは、特定用情報を知られたら、その特定用情報の本人の情報がすぐに閲覧や変更されないように、本人確認によって情報が守られるようにしておくということだ。
したがって、マイナンバーが特定用情報として使われるようになったら、本人が意識すべきことは、自分がマイナンバーを申し出たときに、相手が本人確認をしっかりしているかをチェックするということだ。
つまり、マイナンバーを申し出たときに、身分証の提示を求められなかったり、その顔写真の突き合わせをしっかりしていないとか、そういうことがないかをチェックすることが重要だ。
それを怠っていたときには、それを便利だとか、融通がきくとか思うのではなく、この人は自分じゃない人のときにも、本人確認を怠るかもしれない。と思って、注意なり、改善要望をすべきだ。
逆にそれをしつこく確実にやろうとしてくれるなら、その場では不便かもしれないが、それはよいことだと思わなければならない。

窓口の人がマイナンバーを漏らさないかということは、これまでの、氏名や住所を窓口の人が漏らさないかということと同じなので、マイナンバーを導入したからといって、その心配を増やすのは取り越し苦労だ。
窓口の人は本人確認をした上で、その本人の情報にアクセスするわけだから、これまでだって、氏名と住所を知っている人の情報にアクセスすることは、やろうとすればできてしまう。
マイナンバーがわかってしまうと、自分の情報がなんでも見られてしまう。というのは、マイナンバーとは無関係で、自分の情報を見ることができる人は、自分の情報を見ることができる。という当たり前のことだけで、その点においては、これまでと何も変わらない。
自分の氏名と住所を知っているだけでは、自分の情報をもともと見れない人は、特定用情報がマイナンバーになったとしても、これまでと変わらず、見れないからだ。

つまり、もともと見たり変更できたりする人が、本人確認を怠って、自分のなりすましをした人を自分だと誤解して対応されないようにすることが、もっとも重要なことである。

ということで、今回の結論はこうなる。

マイナンバー制度が導入されたら、市民として注意しなければならないことは、
自分がマイナンバーを申し出たときに、相手が、本人確認をしっかりしているかをチェックすること。

政府に続いて、自治体なども、マイナンバーの広報活動を始めたが、自治体のように、まさに窓口業務を担う機関は、上記のことの啓発をすることが、マイナンバー制度の安全性のひとつめの基礎を固めることになる。
窓口で、本人確認をちゃんとしているかを、自治体に設置する第三者委員会などが現場視察でできる確認は極めて限定的だ。
それよりも、窓口を利用するすべての市民に、日頃から、確認してもらう方が効果が高いものになるだろう。
そして、このことは、マイナンバーの民間利用が将来開始されたときに、マイナンバーを取り扱う人達に必要な意識付けを醸成することにも実は役立つのである。これについては、また、次回以後に触れることにする。

※筆者注(2015/6/23):当初の投稿で使った「識別情報」という用語を、今後の別の説明につなげるために「特定用情報」に一括置換しました。

6月 4, 2015 | | コメント (0) | トラックバック (0)