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2019年5月 9日 (木)

交差点での右直事故の軽減には右折信号の点灯順序が関係する

交差点やT字路で、互いに対向する右折車と直進車が衝突する事故を右直事故というそうだ。
正面衝突し得る危険な事故の一種とされている。

事故の要因は、対向車を見落とすか、双方の車が互いに相手の車は止まっている又は止まってくれるだろうと思ったまま、止まらずに走行して衝突することによる。
右折信号がある場合には、黄色信号を守って、ちゃんと停止すれば、本来は事故には至らない。
しかし、先を急ぐ心理による違反がある限り防げない。このことは注意不足や予測ミスなどによるもので、意識向上がなければ防げないことである。
そのため、運転者の意識改善しか事故を軽減しえないように思うかもしれない。
しかし、右折専用車線と右折信号がある場合には、その点灯順序が変わるだけで状況が変わることも知っておくべきだろう。

実際に、日本と米国では、点灯順序が異なるので、図に示してみた。

Photo

図では、交差点で、赤信号が青信号に変わるのを待つところからの順番を示している。
交差する道路を車両が走行しており、交差する道路の信号(図には示していない)が青から赤になるのを待っているのが図の【1】の状態である。
図だけ見ると、順番に違いがないように思うかもしれないが、【1】と【2】の間で交差道路が青→黄→赤になるのを待つというところが違いになる。

まず、日本の順番から説明する。
【1】赤信号で停車して、交差道路の往来を待つ。
【2】信号が青に変わる。直進車は直進し、右折車線の車両は交差点に進入して、右折を待機する。
【3】信号が黄に変わり、対向の直進車が止まり始める。
【4】信号が赤になり、対向の直進車はすべて停止する。
【5】対向の直進車が止まった状態で右折する。
【6】右折信号は消灯し、先の【1】に戻る。

日本で運転していると、肌感覚で慣れ親しんだ順番である。

次に、米国の順番を説明する。
米国では、車両走行の左右が日本と逆のため、対向車と交差して曲がるのは、右折ではなく左折になるが、曲がる車線の信号という意味では、左右の違いは関係ないので、順番だけ見て欲しい。
【1】赤信号で停車して、交差道路の往来を待つ。
【2】左折信号が点灯し、左折車線の車両は左折を始める。このとき、対向車線の信号は赤のままなので、対向の直進車は停車している。
【3】左折信号が消灯し、左折車は停止する。
【4】信号が青に変わり、直進車が走行し始める。
【5】信号が黄に変わり、直進車が止まり始める。
【6】信号が赤に変わり、先の【1】に戻る。

(ここでは、説明を単純にするために、自分向けの信号と対向車線の3色信号が同時に同じ色に変わることにしたが、時差がある場合でも、順番は基本的に同じである。)

この右折信号が点灯する順番が違うことによって、日本と米国において、右直事故の危険性について次の違いがある。

日本では、黄色信号で直進を強行したい対向車【3】が交差点に駆け込んでくると【4】、右折車と衝突【5】しやすくなる。
米国では、黄色信号で直進を強行したい対向車【5】が交差点に駆け込んできても、左折車は待機中のため衝突に巻き込まれにくい。

上記の日本の危険性は、右折時に、右折車線で待機している先頭車両は、直感的に気づきやすい。
しかし、右折信号が青になっても、対向の直進車が止まるかを先頭車が確認していることに右折車線の後続車は気づきにくいので、先頭車が後続車に気をつかって、安全確認を怠りやすくなることにもつながってしまう。

一方で、米国方式には、上記の他にも次のような利点がある。

日本では、青信号で右折車両が交差点に進入して待機するため、交差する道路が渋滞などして前進できないまま、信号が変わってしまうと、交差道路を塞いでしまうことがあるが、米国では起こりにくい。
日本では、青信号で右折車両が交差点に進入して待機するときに、右に弧を描いて停車しているが、仮にこの状態で後続車に追突されると、そのまま対向車線に飛び出ることになってしまうが、米国では、待機中はハンドルを直進方向に固定することが推奨されており、後続車に追突されて反対車線に飛び出ることは起きにくい。

上記の説明だけだと、米国方式が一方的に安全のように思うかもしれないが、そうではない。
日本方式では、右折車両が交差車両と衝突しにくい。
交差道路側で黄色信号で駆け込もうとする車両は、横向きに停車している右折待機車を目視しやすいので、見落としにくいと思われるからだ。

つまり、米国方式は対向衝突の危険性を軽減しているが、日本方式では起こりにくい、交差衝突の危険性が生じていることになる。

結局、どちらかの危険性かが残ることになるわけだが、冒頭に書いたとおり、この右直事故は「相手の車は止まっている又は止まってくれるだろう」という誤認から起こりえる。
その点では、奥行から手前方向に走行する対向車の走行を見極めるのと、水平方向に走行する交差車の走行を見極めるのとを比べると、どちらかといえば、水平方向の方が視認しやすいような気もする。
それであれば、水平方向に移動する車両の確認は運転者の意識に委ねて、見誤りやすそうな対向車の確認を、信号点灯の順番で予防するという米国方式に利があるのかもしれない。

このように、右折信号を青信号の前に点灯させる米国方式と、青信号の後に点灯させる日本方式という違いがあり、それぞれの危険性に違いがあることは知っておくべきだろう。
日本では、特に、対向車線に右折信号があるときに、危険性が高まることに注意が必要だろう。
なぜなら、右折車は、右折信号がなければ、対向する直進車に注意を最大限払うが、右折信号があれば、信号に頼ってしまいやすくなるからだ。
その意味では、青信号で右折車線の車両が交差点に進入して待機することを禁止して、もともと停止している直進の停止線位置で待機させる方が危険性は減るのだろう。それを自然にできるのが米国方式ということになる。

ただ、いずれにせよ、直進車が黄色信号で止まることが徹底されれば、右折信号に頼ることによる右直事故を防げることに変わりはない。

なお、渡米して運転する機会がある人には、米国特有の注意事項を約20年前にとりまとめたことがあるので参考にしてください。

 

5月 9, 2019 | | コメント (0)