« 2015年6月 | トップページ | 2015年11月 »

2015年9月14日 (月)

マイナンバーとマイナンバーカードについて地方自治体として広報すべきことは何か?

マイナンバーと、どうやって付き合っていくのかについて、ひとつめとして「市民として注意すべきことは何か?」について紹介した。
ここでは、ふたつめとして、マイナンバーとマイナンバーカードについて地方自治体として市民に何を広報しなければならないかを考えてみる。

国は、政府広報「あなたにもマイナンバーが通知されます」を作成して平成27年3月に配布し、マイナンバー、個人番号カード(ここでは、以下、マイナンバーカードと言う。)とマイ・ポータルについて広報した。
地方自治体のいくつかも、その後の春から夏にかけて、それぞれ広報誌を作成して配布したところがある。
しかし、地方自治体の広報内容が、国の広報内容と同じだとしたら、もったいない気がする。

地方自治体は、実際にマイナンバーやマイナンバーカードを取り扱う窓口業務を実施するのだから、それに関係したことを、実際の業務に沿って具体的に紹介するのがよい。

地方自治体は、マイナンバーだけでは窓口手続きをできないことを広報しておくべきだろう。「市民として注意すべきことは何か?」で紹介したとおりマイナンバーは住所・氏名を名乗るのに代わるだけなので、窓口で手続きをしてもらうには自分が本人であることを証明するための本人確認をこれまでと同様に別途してもらう必要がある。
例えば、運転免許証やパスポートに記載されている顔写真が、窓口にいる自分の顔と同じ人物であることを確認してもらうということが必要だ。
窓口では、マイナンバーを申し出ただけでは、手続きをすることはできず、手続きをするためには、何らかの本人確認が必要であることを周知しておく必要がある。

マイナンバーが秘密の番号だと誤解してしまった人からすると、自分の氏名とマイナンバーを申し出ると、マイナンバーがあたかも暗証番号のように取り扱われるのではないかと誤解している可能性がある。
つまり、マイナンバーを他人が知らないはずなら、マイナンバーを正しく申し出ることで本人として認めてくれればよいじゃないか。という誤解である。

本人確認のために必要なものを持参してもらわないと、手続きをすることはできないので、窓口に来るときには、それを持参することを忘れないようにしてください。というお願いをする。
仮に、本人確認に必要なものを持参してもらえないと、どんなにお急ぎであっても、手続きをすることができない場合があるという注意まですればより丁寧だ。

さらに、前回「市民として注意すべきことは何か?」で紹介したように、窓口での本人確認が不十分ではないかということを感じたら、それを申し出るように注意喚起してもよい。たとえば、窓口係員がちゃんとカードの写真と自分の顔写真を見比べていたか。マイナンバーの番号だけに頼らずに、氏名を復唱して番号に間違いがないことを確認したかなどを、手続きをする市民に見届けてもらうことの協力をお願いするのである。それによって、単発的な第三者点検よりも、継続的で網羅性のある点検に市民に参加してもらえるようになる。
ともすると、本人確認を厳格にすることによって「役所は融通がきかない。不親切だ」という誤解を受けるかもしれないが、それの払拭にもつなげることができる。

以上のことがちゃんと周知されれば、マイナンバーが他人に知られたからといって、すぐに自分に成りすまされることがないことを理解してもらうことにも役立つ。

その上で、本人確認の手段として、従来の運転免許証やパスポートなどの他に、マイナンバーカードが増えたことの説明を加えるとよい。

そもそも、国の広報では、マイナンバーは「国民一人ひとりがもつ12桁の番号」で「社会保障・税・災害対策の分野で個人の情報を適切かつ効率的に管理するために活用される」としているが、国民としての用途に触れていない。

国は、以下のことなどを広報した。
 1.マイナンバー、マイナンバーカード、マイ・ポータルとは何か
 2.国はマイナンバーを何のために使うのか
 3.マイナンバーはどう管理され、どう守られるか

逆に言うと、国は次のことについて広報していない。
 4.市民はマイナンバーを行政手続きでどう使うのか
 5.市民はマイナンバーカードを行政手続きでどう使うのか
地方自治体は、上記の1~3について再周知するだけでなく、4と5を新たに周知することで付加価値を示すことができる。

4について
マイナンバーは、行政手続きをする際に、住所や氏名を申し出る代わりに、自分が誰かを伝えるために使うものだ。本来は、マイナンバーを申し出るだけで誰だかわかるはずだが、番号の羅列であるため、書き間違えや読み間違えを防ぐために、住所や氏名も引き続き記載することになる。

行政手続きをするには、マイナンバーの他に、従来どおり本人確認のための身分証を持参する必要がある。

5について
マイナンバーカードは、自分が誰かを証明するために使うもの、つまり身分証だ。マイナンバーカードでは、自分が誰かということが、運転免許証やパスポートと同様に氏名で示されるとともに、マイナンバーも記載してあるので、同姓同名者などと間違われることもなく、より確実に自分が誰かを示すことができる。
したがって、マイナンバーカードは、これまで身分証を持っていなかった人にとっては、国から無料でもらえる写真付きの身分証ということになる。
既に運転免許証やパスポートを持っている人は身分証を持っていることになるが、マイナンバーカードだと、そこにマイナンバーも入っているものになる。

つまり、身分証を持っていない人には、身分証を無料であげます。
身分証を持っている人には、マイナンバー付きの身分証を無料であげます。
ということにすれば、身分証を持っている人にも持っていない人にも、カード申請の動機付けを与えることになる。

マイナンバーカードは、国から無料で発行される写真付き身分証ということを周知することが基本的に必要だ。それ以外のことは、付加的なことでしかなく、万人にとっての動機付けにすることは難しい。
ましてや、行政手続きでの使い方を上記4や5のように広報していない時点で、マイナンバーの将来の民間利用の話しと混在して説明し始めるのは本末転倒でしかない。利便性を広めたいつもりかもしれないが、不安が先に広まりかねないからである。

上記に加えて、既に住基カードを持っている人については、マイナンバーカードの発行を申請することによって、住基カードやカード内に保持している電 子証明書がどうなるか、住基カードを自治体独自のサービスに使用しているなら、それがどうなるかなどを、各自治体の状況に応じて具体的に説明することが親切だと思う。

ざっくりと、まとめてしまえば、以下のようなことだ。

マイナンバーは、行政手続きの際に、氏名の代わりにお伺いするものです。ただし、番号間違いを防ぐため引き続き氏名と住所などもお伺いいたします。見ず知らずの人に氏名を知られたくないのと、同程度に、マイナンバーを人に知らせないでください。マイナンバーをご存知なだけではご本人であることの確認にはなりません。そのため、マイナンバーをご存知だからといって、ご本人に関する情報を閲覧したり、行政手続きをすることはできません。手続きの際は、従来どおりに身分証が必要なので、必ず持参してください。
マイナンバーを行政からの依頼なく、民間機関がおたずねすることはありません。勤務先等へのマイナンバーの届け出については、行政から勤務先等に依頼しているものです。民間機関からマイナンバーをたずねられた場合には、それが、どのような行政手続きによる依頼かをご確認の上でマイナンバーを伝えるようにしてください。

マイナンバーカードは、国が無料で発行してくれる写真付きの身分証です。写真付き身分証をお持ちでない方は是非お申し込みください。既に身分証をお持ちの方もマイナンバー付きですし無料ですから是非お申し込みください。マイナンバーカードをお使いになるときは、取扱者が顔写真とご自身の顔をよく見比べているかを確認してください。もしも、怠っている場合には、遠慮なくご相談ください。
マイナンバーカードは、行政手続き以外での民間機関に対する身分証としてもお使いいただくことができます。ただし、その際に民間企業が確認できるのは、マイナンバーカードの表面に記載された氏名・住所等の事項のみです。裏面に記載されるマイナンバーを見たり控えたりすることは法律で禁止されています。もしも、行政手続き以外でマイナンバーをたずねられた場合には断っていただき、その旨をご報告ください。なお、民間での利用については将来の法改正で検討される予定がありますが現時点では上記のとおり禁止されています。

なお、既に住基カードをお持ちの人については、~~(自治体の状況に合わせて記述)~~のようになります。

上記の最後に加えて、既に住基カードを持っている人については、マイナンバーカードの発行を申請することによって、住基カードやカード内に保持している電子証明書がどうなるか、住基カードを自治体独自のサービスに使用しているなら、それがどうなるかなどを、各自治体の状況に応じて具体的に説明することが必要だと思う。

いずれにしても、地方自治体でマイナンバーの広報活動をするなら、国の広報と同じ内容を重複するだけではなく、窓口業務などを直接実施する立場での広報内容についても考えるのがよいと思う。

9月 14, 2015 | | トラックバック (0)